つくったもの WORKS

ヘレンベルガー・ホーフ株式会社 様

 

プロジェクトのはじまり

2020年。世界中を揺るがした新型コロナウイルスの影響は、ワイン業界にも深刻な打撃を与えました。
飲食店が営業できず、ホームパーティーやイベントも開けない。ワインを楽しむ「時間」と「場所」が急速に失われ、人々の生活からワインが遠のいていきました。

そんな中、行き場を失った2020年ヴィンテージのリースリング。
「このブドウを無駄にしたくない」という想いから、ヘレンベルガー・ホーフ株式会社様は購入し、特別なワインを製造することに決められました。
しかし「せっかくの特別なワインを、どう表現すればお客様に届けられるのか?」という課題が残っていました。
その答えを探すため、ラベルデザインを広く募るコンペが開催されたのです。ここが、私たちの関わりの第一歩でした。

 

解決すべきこと

コンペで提示された唯一の条件は「猫」。
社員の皆様が大の猫好きで、「猫のように、誰からも愛され、親しみを持って手に取っていただけるワインにしたい」という想いが込められていました。

しかし、猫のイラストといっても、その表現は実に幅広い。リアルな猫、シルエット的な猫、ゆるキャラ風の猫…。
単に“かわいい猫”を描くだけでは心に残らない。どうすれば「ずっと手元に置きたくなる存在」にできるのか。そこで私たちは「ラベルに物語を持たせる」という一歩踏み込んだ提案を行いました。

 

私たちのアクション

ストーリー提案について

「ただの猫ではなく、“キャラクター”として生きる猫にしませんか?」
そうして誕生したのが、『MIKE(ミケ)』という名の猫です。

名前を与えることで、猫は単なるイラストから、人格を持つキャラクターへ。
さらに「どんな性格なのか」「どんな日常を送っているのか」といった物語を紡ぐことで、愛着は一層深まります。

ラベルの上の猫は、単なる装飾ではなく「物語の主人公」。私たちは、『MIKE』のストーリーを伝えるため、ポスターや漫画仕立ての販促物も展開しました。ラベルを見た人が「この猫は誰だろう?」と気になり、調べていくうちにワインそのものを好きになっていただける仕組みを目指しました。

 

実現したこと

結果として、『MIKE RIESLING』は「特別な2020年のワイン」から、「毎年楽しみにされる企画」へと進化しました。

最初はコロナ禍の苦境から生まれたプロジェクト。
しかし、ストーリーを持つ猫のキャラクターを据えたことで、「今年のMIKEはどんな物語を見せてくれるのだろう?」という継続的な楽しみが生まれました。

“ブドウを無駄にしないための取り組み”から、“ブランドとして未来へつながる企画”へ。
一度きりのプロジェクトが、いまではシリーズ化され、ワインラベルを超えたキャラクター展開が期待されています。

 

 

  • ・デザインだけでなく「ストーリー」という付加価値を提案

  • ・猫を単なるイラストではなく『MIKE』というキャラクターへと育成

  • ・販促ツールを含めた世界観づくりで、商品に厚みを持たせた

 

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